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離婚を迷って別居する場合の注意点と別居のメリット・デメリット

離婚と別居

○別居する2つの理由と離婚問題

夫婦が別居する理由はケースによってさまざまでしょうが、その理由は2種類に大別できるでしょう。

 

1つは、別居することによっていったん2人の距離を置き、冷静になった上であらためて関係の修復を図るためです。この場合には、お互いに取り敢えず1人になって夫婦の過去や将来について落ち着いて考え、反省すべきところは反省して関係を立て直すために努力して行くことになります。

 

2つ目は、離婚の前段階として別居するもので、この場合には、別居しながら離婚に向けた話し合いをし、場合によっては家庭裁判所での調停や訴訟の手続を経て離婚を成立させることになります。

 

1つ目の別居については夫婦関係を続けることに前向きなものですから、法律的な問題とはならないものと考えられますが、2つ目の別居は夫婦関係を清算する準備をするための別居ということになりますから、離婚という法律的な問題と直接関係するものになります。

 

そこで、この場合の別居をするには、正式に離婚をするに当たって不利にならないよう十分注意して行なう必要があります。

以下に、離婚の前提として別居をする場合の注意点についてまとめてみましょう。

 

1.別居のメリットとデメリット(家庭内別居と比較して)

そもそも別居をする場合に生ずるメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

メリット、デメリットそれぞれについて見てみましょう。

 

(1) メリット

感情的な嫌悪感を抱いている相手とひとつ屋根の下で一緒に生活することは大変な苦痛です。別居の一番のメリットは、そのような苦痛を感ずることなく落ち着いて離婚の準備に集中できることです。

また、相手方に暴力(DV)がある場合などには、別居によって自分の身を守ることができます。

 

さらに、離婚訴訟を行っている場合などには訴訟資料や弁護士との打ち合わせの内容などを相手方に秘密にしておく必要があります。離婚原因などの離婚に至る事実関係について争いがある場合には、情報が相手方に筒抜けになっていては到底勝ち目はありません。しかし、相手方と同居している状態だと、書類などを見られないよう秘密にしておくことはなかなか難しいことです。他方、別居している状態であれば、訴訟の資料を隠しておいたりする必要もありません。

 

(2) デメリット

そもそも夫婦には、法律上は同居すべき義務を負っています(民法752条)。したがって、正式に離婚が成立していないのに別居をすることは、本来はこの義務に反することになりますので、一方的に別居に踏み切ること自体が場合によっては離婚原因の一つとなって、のちの離婚の争いにおいて不利に働く可能性があります。

 

もちろん、離婚について結論が出るまでの一時的な期間別居することは法律的に許されないものではないとは考えられますが、別居が長期間にわたることはなるべく避けた方が無難です。

 

また、提示される条件や話し合いの結果によって、離婚はしないという選択肢を残しておきたい場合には、別居をすることによって夫婦間の感情が余計こじれるなどして、そのような選択肢が事実上絶たれてしまうこともあり得ますので、十分注意しなければなりません。

 

(3) 小括

正式に別居しないでいわゆる家庭内別居をする場合と比べると、別居には以上のようなメリット、デメリットが考えられます。精神的に楽になるということが別居の一番のメリットと言えるでしょうが、実際に別居を決める際には、状況に応じてメリットとデメリットをよく比較した上で慎重に決断する必要があります。

 

 

2.別居するかどうかの判断

では、別居するかどうかの判断は具体的にはどのようにしたらよいのでしょうか?

 

(1) 直ちに別居すべき場合

まず、相手方から暴力を受けていて身の危険がある場合(いわゆるドメスティック・バイオレンス(DV)被害を受けている場合)には、積極的に別居すべき場合ということができます。

 

この場合には、警察にも相談しながら早急に別居に踏み切るべきですし、転居先を相手方に知られないよう気を付ける必要があります。安全な転居先を見つけるまでの間は、自治体などが設置しているシェルター(一時保護施設)を利用することも検討すべきです。

また、DV事案では、ケースによっては裁判所に保護命令(配偶者からの暴力により被害者の生命または身体に重大な危害が加えられるおそれが大きい場合に、裁判所が相手方に接近禁止や住居からの退去を命ずるもの)を発してもらうこともできますので、これについても検討すべきです。

 

なお、このような場合には、本人自身が直接相手方と対応することは危険なことですから、代理人として弁護士を立てることは必須です。

 

(2) 上記以外の場合

DV事案以外の場合は、相手方と話し合いを行った上で別居をするのが無難です。いきなり一方的に別居に踏み切ると、先ほど述べたように相手方にそのこと自体を離婚原因として主張する余地を与えることになりますし、こちらに収入がない場合には当座の生活費に困ることにもなります。

 

夫婦は互いを扶助する法的な義務を負っており(民法752条)、夫婦は婚姻から生ずる費用を分担すると民法は定めています(民法760条)。この「婚姻から生ずる費用」(婚姻費用)には夫婦の生活費が含まれますので、収入のある配偶者は、正式に離婚するまでは別居中といえども他方配偶者の生活費を負担する義務を負っています。

 

したがって、相手方と話し合いをした上で離婚までの間の生活費を支払う約束を取り付けた上で別居するのが理想といえます。もちろん、関係の悪化した夫婦間で話し合いがうまくいくとは限らず、その場合には後に述べる手続を別に取ることになりますが、まずは話し合いを経てから別居をすることが必要でしょう。

 

なお、話し合いの結果、別居中の生活費を負担するとの約束を得た場合には、証拠としてその旨の合意書を作成しておくべきです。相手方が支払いの約束を守るかどうか不安なときは、公証人の作成する公正証書の形で合意書を作成しておくと、万が一支払いが滞った場合に、裁判を起こさないでも相手方の預金や給与などを差し押さえる手続ができ、婚姻費用の回収に便利です。

 

3.別居する場合の生活費

専業主婦など収入のない側の立場からすると、別居に踏み切るに当たっては、別居中の生活費をどうするかが悩みの種になります。

 

前項で触れたとおり、別居中の夫婦間には、婚姻費用を分担すべき義務がありますから、収入のない当事者は、相手方にこの婚姻費用を分担するよう請求すること(婚姻費用分担請求)ができます。

 

そして、話し合いを行ってもこの点について合意できない場合には、家庭裁判所での調停・審判の手続でこれを決めることになります。この婚姻費用分担請求については、夫婦それぞれの収入、子どもの人数をあてはめると大まかな金額が分かる基準が作成されていますので、実際もらえる婚姻費用がどれくらいの金額になるかを予測することができます。

 

なお、裁判所の調停・審判によって婚姻費用分担を定めた場合には、前項に述べた公正証書と同様に、支払い約束を守らないと、改めて支払いを請求する裁判を起こさずに差し押えを行って婚姻費用を回収することができます。

 

4.未成年の子どもがいる場合の注意点

夫婦間に未成年の子どもがいる場合の別居には特別な注意が必要です。

 

離婚後に子どもの親権を確保したいと考えている人は、別居時に子どもも一緒に連れて別居するのが無難といえます。

 

本来、両親のいずれが子どもの親権者にふさわしいかは状況に応じて判断すべきことですが、裁判所は一般的にいったん形成されて安定している状況を変えることを好まない傾向がありますから、別居後に親権者の争いが生じた場合には、争いが生じた時点で子どもと一緒に暮らし現実に養育している側が親権争いで優位に立つことができます。

 

もちろん、子どもを養育している側の当事者が直ちに親権を得られるわけではありませんから、子どもを連れての別居が親権を獲得する絶対条件になるものではありませんが、少しでも有利な状況を作っておきたければ子どもを置いての別居は避けましょう。

 

ただ、子どもを連れての別居には、収入などの面で安定した生活が可能かどうかの不安が付き物です。

したがって、前項で触れた婚姻費用分担請求をする際には、子どもとの生活を考えて金額を決める必要があります(裁判所が利用している基準は子どもの年齢・人数によって金額が変わります)。

 

また、自治体によっては、公営住宅の入居につきひとり親家庭を優先しているところもありますし、母子生活支援施設の利用なども検討対象になるでしょう。

 

5.別居中に勝手に離婚届を出されないために

別居をして離婚の準備をしている間に、無断で離婚届が提出されては面倒です。他方配偶者に無断で離婚届を提出することは犯罪(文書偽造)に当たりますが、いったん提出されてしまうと、離婚の無効を確認するための裁判所の手続(調停または訴訟)が必要になってしまい大変面倒です。特に、相手方に自分が署名した離婚届用紙を渡してあったような場合には、自分に無断で提出されたことを裁判で証明しなければならなくなって、苦労する可能性があります。

 

そのようなことにならぬよう、相手方が離婚届を出しそうな場合には、市区町村役場に離婚届不受理申出をしておくとよいでしょう。この離婚届不受理申出書は、本籍地に限らず、全国どこの役所でも提出できますので、別居によって本籍地を離れた場合でも簡単に行うことができます。

 

6.まとめ

以上、離婚を考えている場合の別居において注意すべきことを挙げてみましたが、実際に別居を決める場合には、ケースによって考えるべき事柄は違いますので、必ず弁護士に相談してから決めるようにしましょう。

 

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