■離婚の際にすべきでないこと
離婚を成立させる際に、してはならないこと、すべきではないことにはどのようなものがあるでしょうか。
せっかく離婚を成立させても、してはならないこと(法律上許されないこと)をしてしまっては、離婚は無効となってしまう可能性があります。また、知らずにしたことであっても、法律上許されないことであれば無効となってしまいます。
離婚が無効となってしまえば、離婚の成立に向けて費やしてきた時間や努力が無駄になってしまいますから、これは避けねばならないことです。
以下に、離婚を成立させる際にしてはならないこと、すべきでないことの例を挙げますので、十分注意した上で離婚の話を進めるようにしましょう。
■1 離婚届の偽造
離婚届に相手がサインしてくれないからといって、離婚届の相手方の署名押印部分を自分で書いてしまったり、誰かに書いてもらったりしてはいけません。
このようなことをすると、文書偽造の罪に問われます。具体的に言うと、離婚届に本人でない人が署名押印すると刑法上の犯罪である有印私文書偽造罪が成立しますし、これを役所に提出すると有印私文書行使罪が成立し、この離婚届に基づいて戸籍に離婚した旨の記載がなされると公電磁的記録不正作出罪が成立します。
いずれも懲役刑を含む重い刑罰が規定されている罪です。軽く見がちですが、文書偽造罪は決して軽い犯罪ではありません。
また、民事的にも偽造の離婚届による離婚は無効になります。離婚届が出されていたとしても、当事者の一方に離婚の意思がないのですから、離婚が無効なのは当然のことです。
したがって、離婚届の偽造は絶対にしてはいけません。離婚が無効になるばかりか、罪にまで問われることになってしまいます。
■2 離婚届への署名の強要
当然のことですが、暴力や脅迫を背景に離婚届に署名することを相手方に強要してはなりません。
このようなことをすると、民事的には離婚自体が相手方の意思によって取り消すことができることとなります。また、強要の程度が強い場合(本人の自由意思がないといえるほどの強度の場合)には、離婚の意思がないものとして離婚は(取り消すまでもなく)無効となります。
さらに、このような行為は刑事的にも犯罪となることがあります。この場合には、ケースによって刑法上の犯罪である強要罪、脅迫罪、暴行罪などが成立する可能性があります。
また、相手を騙して離婚届に署名させることも離婚の取消原因となりますので、同様にしてはならないことです。
■3 離婚届への署名との交換条件
例えば、
「離婚届に署名する代わりに財産分与を放棄しろ」、
「署名する代わりに親権者変更の申立てをするな」、
「署名する代わりに婚姻中の姓を使うな」
など、離婚届への署名に交換条件を付けることは法的には意味がありません。これらの条件を付けたとしても、その条件は無効になるからです。違法な条件、公序良俗に反する条件を付けて合意をしても、法的にはその条件は無効になるのです。
これは、「養育費の請求をしない代わりに親権を放棄しろ」、「養育費の請求をしない代わりに子どもには会わせない」などの条件についても同じです。
もちろん、これらの条件を暗に早期解決などのための交渉材料として使うことがないわけではありませんし、そのこと自体が違法というわけではありませんが、これらの条件を最終的に合意しても法的強制力を持つものではないのです。
見落としがちなことですので、十分に気を付けましょう。
■4 慰謝料・養育費などの遅滞のペナルティ
慰謝料を支払う合意がなされても、一括で支払うだけのお金がない場合には、分割払いで支払うとの合意がなされることがあります。また、養育費の支払いは、通常毎月決まった金額を支払っていくことになります。
このように定期的に支払われる慰謝料や養育費の支払いが遅れた場合に備えて、借金の返済の場合と同じように遅延損害金を定めることはできるのでしょうか。
慰謝料や養育費の支払いについて、遅延損害金を定めること自体は可能でしょう。これを定めることによって、支払いがきちんとなされるという効果も期待できます。
ただ、その利率が高率過ぎる場合は別です。
例えば、利息制限法という法律は、元本の金額によって遅延損害金の利率を年21.9%ないし29.2%までに制限しています。
利息制限法はお金の貸し借りに関する利息を制限するための法律ですので、離婚時の慰謝料や養育費の遅延損害金にこれが直接に適用されるものではありませんが、利息の高低を判断するのに参考になる法律です。したがって、定められた利率が利息制限法に定める利率を超えている場合には、違法な利率を定めたものとして無効とされる可能性が出てきます。
離婚時に遅延損害金を定めていなくても、法律上は年5%の遅延損害金を請求することができますので、無理な利率での遅延損害金の定めをすることは避けるのが無難でしょう。
■まとめ
このように離婚の際にしてはいけないことをいくつか挙げてきましたが、いかがでしょうか。知らなかったからと言って、このようなことをしてしまうと、離婚が認められないばかりか、法的に罪に問われるケースさえあります。
ですから、離婚に際しては弁護士に相談し、法的に間違いのない形、条件で離婚届を提出する必要があるでしょう。
弁護士に予め相談すれば、このような大きなミスは防げるものです。
特に、夫婦間でトラブルになっている場合では、感情的になり、一方的な条件を突きつけたり、あるいは突きつけられたりすることがあります。それが法的に妥当なのかどうか、また法的な保護が受けられないのか、そして、そもそもその離婚が有効となるのか、弁護士に相談をすることがとても大切なのです。
当事務所の特徴
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