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婚姻費用とは

婚姻費用とは、夫婦とその扶養にある子どもが共同生活をするうえで必要な衣食住費、教育費、医療費、交際費などの費用のことで、 財産・収入・社会的地位などに応じた普通の生活費を意味します。婚姻費用のことを実務では、婚費(コンピ)と呼んでいます
法律上、夫婦は互いに婚姻費用を分担すべきものとされていますが、通常は、収入のある夫から妻に対して金銭(生活費)が支払われます。 なお、婚姻費用分担義務は、婚姻関係が続いている限りなくならないのが原則で、離婚が争われている間といえども夫婦である以上は、生活費を支払う義務があるのです。

婚姻費用分担請求手続き

婚姻費用の分担を求める方法としては、まず、夫婦間で話し合うことが考えられますが、ここで合意できない場合は、家庭裁判所に「調停」を申立てることになります。「調停」で合意できない場合には、自動的に「審判」に移行し、家庭裁判所によって、婚姻費用の支払いに関する決定がされます。 「審判」では、家庭裁判所が、夫婦の資産、収入、その他一切の事情を考慮して、具体的な分担額を決定します。
家庭裁判所での調停や審判で、相手が婚姻費用を支払うべきことが決まると、それが履行されないときに、家庭裁判所に申し立てて、婚姻費用を支払うよう相手に勧告することもできますし、また、相手の財産に対して 強制執行することができます。
詳しくは、未払い婚姻費用への対処方法参照

婚姻費用の算定

算定方法

具体的に婚姻費用がいくらに決定されるかについては、家庭裁判所では、「養育費・婚姻費用算定表」という表をもとに算出される金額に、個別の調整を行って婚姻費用を決定する運用が定着しています。 この算定表は、標準的な婚姻費用を簡易迅速に算出するために考案されたもので、「夫婦の収入」、「子どもの人数・年齢」により、標準的な婚姻費用が算出できます。 例えば、給与所得者である夫の年収が450万円で、妻が専業主婦で年収は0円、6歳の子どもが1人いる夫婦の場合、夫は妻に対し、月額8万円から10万円を支払うものとされています。
養育費・婚姻費用算定表(裁判所HPより)はこちら

婚姻費用算定表の見方

  1. (算定表の選択)表の右上に子供の人数と年齢が記載されていますので、子どもの人数と年齢から該当する婚姻費用算定表を選びます。
  2. (支払義務者の年収)縦軸に支払義務者の年収が25万円刻みで記載されていますので、あなたのケースにおける支払義務者の年収に近い金額を見つけます。
  3. (請求権利者の年収)横軸に婚姻費用請求権利者の年収が25万円刻みで記載されていますので、あなたのケースにおける請求権利者の年収に近い金額を見つけます。
  4. 両者の年収が縦横で交差するマスにあてはまる婚姻費用の金額が目安となる婚姻費用です。

(年収の考え方)

  • 給与所得者の場合、縦軸(請求権利者の場合横軸)の「給与」の方を見ます。
  • 年収にあたる金額は、源泉徴収票中の控除する前の支払金額を利用します。
  • 自営業者の場合、縦軸(請求権利者の場合横軸)の「自営」の方を見ます。
  • 年収にあたる金額は、確定申告書の「課税される所得金額」を利用します。

(具体例)
夫:年収580万円の給与所得者  妻:年収120万円のパート勤務 子供:8歳と12歳の二人

  1. (算定表の選択)子供の人数と年齢に着目し、算定表の「表13 婚姻費用・子2人表(第1子及び第2子0~14歳)」を選択します。
  2. (義務者の年収)設例は給与所得者で年収580万円なので、「給与」と書かれている外側の縦軸の金額を用います。25万円刻みで年収が記載されていて、580万円は「575」万円と「600」万円の間で「575」万円に近いので、このランクを使用します。
  3. (請求権利者の年収)設例ではパート勤務で年収120万円なので、「給与」と書かれている下側の横軸の金額を用います。25万円刻みで年収が記載されていて、120万円は「100」万円と「125」万円の間で「125」万円に近いので、このランクを使用します。
  4. 義務者と請求権利者の年収ランクが決まったら、それぞれの年収ランクが交差するところのマスを確認し、そのマスに記載されている金額が基準となる婚姻費用です。

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以上の作業から、10~12万円が婚姻費用の標準として算出されます。

分担請求できる婚姻費用の発生時期

分担請求できる婚姻費用の発生時期について夫婦間の話し合いでまとまらない場合、家庭裁判所の調停等で決められますが、通常、調停や審判を申し立てた時から発生するとされます。 したがって、夫婦関係がこじれて、相手から生活費が支払われない場合には、できるだけ早く家庭裁判所に調停や審判を申し立てることが重要になります。
なお、婚姻費用は婚姻関係を前提としますので、離婚が成立した場合には、婚姻費用の分担請求はできなくなります。

未払い婚姻費用への対処方法

家庭裁判所の調停や審判で決定した婚姻費用を相手が約束通りに支払わないときの対処方法を説明します。

裁判所の「履行勧告」「履行命令」

このような場合、最終的には強制執行をすることになりますが、その前に家庭裁判所の「履行勧告」「履行命令」という制度を利用することができます。
履行勧告は、婚姻費用を払わない相手に、婚姻費用を払うようにと家庭裁判所から勧告してもらう制度です。強制執行と違って煩雑な手続きもなく、申立手数料もかかりません。ただ、法的な拘束力はありませんので、支払いを強制することはできませんが、心理的強制力に期待することになります。
履行命令は、勧告よりも少し強い効果が期待でき、相手に婚姻費用を払うようにと裁判所が命令を下すものです。履行命令に従わないときは10万円以下の過料の支払いが命じられます。申立ての手数料は300円です。もっとも、実際に過料が科せられることは少なく、残念ながらこの命令が無視されてしまうケースも多いです。

強制執行

家庭裁判所からの「履行勧告」や「履行命令」にも一定の効果を期待せきますが、これらをしたにもかかわらず支払わないときには、最後の手段としての強制執行をすることになります。預金や給料に対する差押えは、それなりの効果を期待できます。

婚姻費用における強制執行の特則

婚姻費用の未払いで強制執行する場合には、通常の場合より次のように強化されています。

  • 強制執行できる範囲について、滞納分だけでなく、将来の分についても一括して強制執行できることになっています。
  • 給料差押えの場合、通常は給料の4分の1までしか差し押さえることができませんが、婚姻費用の場合(養育費の場合も)は、給料の2分の1までの差し押さえが認めらます。
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