親権とは
親権とは、未成年者の子どもを監護・養育し、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務のことをいいます。婚姻中の父母の場合には、原則としてその2人が共同で親権者となります(民法818条3項)。
父母が離婚する場合、父母のいずれかを親権を行使する親権者として定める必要があります。
詳しくは親権者を定める手続きを参照
親権の内容は、2つに分けられます。
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子どもに対する監護教育の権利義務(身上監護権)
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- 子どもの身体上の監督保護、及び精神的発達を図るための教育を行う権利義務のことです。学校教育を受けさせる義務も含まれます。他にも、居所指定権、懲戒権や職業許可権があります。
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子どもの財産上の管理処分の権利義務(財産管理権)
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- 未成年の子どもの財産の管理や、法律行為の代理及び同意をする権利義務のことです。
親権者を定める手続
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(協議離婚による指定)
協議離婚の場合は、話し合いにより夫婦のどちらか片方を親権者と決めます。離婚届には親権者を記載する欄があり、親権者を記載しない離婚届は、役所で受け付けてもらえないので、未成年の子どもがいる場合には、親権者も同時に決めないと離婚はできないことになります。財産分与・慰謝料等については、離婚後に条件を定めることも可能ですが、親権者の決定だけは離婚する際に絶対取り決めねばなりません。
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(調停による指定)
親権者を決める話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に親権者の指定を求める調停を申し立て、裁判所における調停の話し合いを通じて親権者を決めることになります。もっとも、親権は離婚条件の中でも重要な条件ですので、親権でまとまらない場合は、そもそも離婚するかどうかも問題になりえます。したがって、親権が決まらない場合には、あらたに離婚調停申立をして、その調停の中で親権の話し合いもしていくのが通常です。
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(審判による指定)
親権者について調停でもまとまらない場合には、親権者指定の審判手続に移行し、裁判所の判断により親権者を指定してもらうことになります。
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(裁判による指定)
離婚調停で親権者の取り決めができず、離婚の条件がまとまらないために離婚調停が不調となった場合には、あらたに離婚訴訟を提起して離婚の成否や離婚の条件について争うことになります。このとき、離婚の条件のひとつとして親権を父母のいずれにするかを裁判所に判断してもらうよう申立をすれば、裁判所が判決で親権者を定めることになります。
の事情を考慮して、総合的に判断されます。子どもが幼ければ幼いほど、親権の争いについては母親が有利といわれています。ただし、子どもの面倒を見るのには母親が向いているという理由で母親が有利といったこともたしかにありますが、これも養育能力の問題ですので、母親だから常に有利というわけでもありません。
また、いっぽう、不貞をしていたという事情については、ほかの場面では非常に重要な問題になりますが、子どもの親権決定の場面においてはそれほど重要ではなく、その事情のみをもって親権者としてふさわしくないとの判断はされません。ただし、不貞行為により子どもに悪影響をおよぼしたという事情がある場合には、もちろん考慮されることになります。
なお、子どもの環境の変化という観点から、既存の監護状態が重視される傾向はたしかにあります。しかし、夫婦が別居状態で離婚の話し合いをしている最中に、子どもを監護していない親が、無断で子どもを連れ去る等の行為をすることは、親権者を決める協議・裁判手続中であることを無視する不穏当な行為であり、親権者の適格性を判断するうえでは大きなマイナスとなることもありますので、注意が必要です。
親権者の指定基準
裁判所が父母のいずれを親権者と指定するか決定するに当たっては、一般的に以下のような点を総合考慮のうえ、子どもの利益と福祉を基準として決定します。
- ① 監護候補者の子どもに対する愛情
- ② 監護候補者の収入などの経済力
- ③ 監護候補者の年齢や心身の健康状態
- ④ これまでの監護状況
- ⑤ 住宅事情や学校関係などの生活環境
- ⑥ 子ども本人の意思 ※
- ⑦ 子どもの年齢や性別、発育状況
- ⑧ 環境の変化の子どもの生活に対する影響
- ⑨ 兄弟姉妹が分かれることになるか
※15歳以上の子どもの親権を審判や訴訟で定める場合には、裁判所が子ども本人の意思を聞く必要があります。ですから、ある程度の年齢の子どもの場合は、親権者の決定には、子どもの意思がかなり重要となってきます。
親権者の変更
いったん決められた親権者を変更したい場合には、父母の協議のみで簡単に親権者を変更することはできず、親権者変更の調停・審判を家庭裁判所に申し立てて、新たな親権者を家庭裁判所で指定してもらうことになります。
親権者が変更されるのは、子どもの利益のために必要があると認められるときに限りますので、そのハードルはかなり高いといえます。