離婚後に親権・監護権を持たない親が「我が子に会いたい…」と思うことは多いです。こうした思いを叶える権利として「面会交流権」があります。
ここではこの「面会交流権」について詳しく説明します。離婚を期に子供と離れ離れになってしまう親御さんは、この権利についてあらかじめ確認をしておくといいでしょう。
目次
■面会交流権の概要
面会交流権は親権や監護権を持たない親(非監護者)が、子供に直接会ったり、手紙や電話など間接的に交流したりする権利のことを言います。従来は「面接交渉」と呼ばれていましたが、現在は「面会交流」として認識されています。
面会内容は協議によって決まりますが、「直接面会」による交流が基本です。また、面会回数は月に1回、2~3時間程度が一般的でしょう。ただし、配偶者の事情によっては間接的な交流や、宿泊による交流等もありえます。
こうした面会交流権が認められている背景には、子供が非監護者に会うことで「子供の利益・福祉にいい影響をもたらす」と考えられているからです。したがって、面会交流権は非監護者に認められた権利ではありますが、見方を変えれば子供にとっての権利とも言えるでしょう。
■面会内容の決定方法・手続き方法
非監護者が子供に会う際の面会内容は、当事者間の話し合い(協議)によって決められるのが一般的です。しかし、話し合いで折り合いがつかなければ家庭裁判所に申立て、調停や審判、それでも内容に不服の場合は訴訟によって面会内容が決定されます。
ここで面会内容の決定方法・手続き方法について詳しく見ていきます。
協議による決定
離婚届を提出する前に、当事者間の協議によって面会内容を決めておきます。主な決定事項は下記の通りです。
- 面会交流:そもそも面会交流を認めるか?
- 面会方法:直接面会か間接面会か?
- 面会回数:年間・月間に何回会えるか?
- 面会日時:いつ・どの程度の時間、面会をするか?
- 面会場所:どこで面会をするか?
これらを話し合いによって決定しておきます。そして決定した内容を証明できる書類を作成しておきましょう。なぜなら、面会内容を決めることは義務になっていないため、証明する証拠がないからです。
なお、こうした面会内容を決めるタイミングは、離婚前にしておくべきです。理由は離婚後には、当事者間で顔を合わせることが少ないからです。したがって、離婚届を提出する前に話し合いを済ませておくことが肝心でしょう。
調停・審判による決定
当事者間の協議で折り合いがつかない場合は、管轄する家庭裁判所に申立てをします。申立てを受けた家庭裁判所は「調停委員」を仲介役として立てて、面会内容について取り決めます。なお、決定事項は「協議による決定」と同様で、面会交流の可否や方法、回数、日時、場所などです。
ただし、調停・審判になると「面会交流権を与えるにふさわしいか」を判断する手続きが行われることもあります。それが「調査官調査」と「試行的面接」です。
まず「調査官調査」についてです。この調査は心理学や教育学などに長けた調査官が、子供の心理状態について調査をすることです。面会交流は「子供の利益・福祉」に良い影響があることが前提です。したがって、子供の視点から見て面会交流の良い影響と悪い影響を診断します。そしてこの調査結果をもとに、面会内容の可否や回数等を決める判断材料にします。
そしてもう1つが「試行的面接」です。こちらは調査員立ち会いのもと、試験的に非監護者が子供と面会を行う様子を調査する方法です。子供にとって面会が良いものだと判断されれば、面会交流は積極的に行われるように配慮されます。しかし、この面会が悪いものと判断されれば、調停委員は消極的に判断することが多いです。
調停・審判ではこうした手続きによって面会内容を決定していきます。なお、調停にて面会内容が決定されれば「調書」が作成されるので、離婚後に面会内容を守る義務が発生します。
訴訟による決定
もし家庭裁判所に調停や審判を申立てても面会内容が決定しなければ、最終的に「訴訟(離婚裁判)」によって決定する必要があります。なお、本来であれば離婚裁判は「離婚の可否を決定する」ための訴訟です。したがって、面会内容が定まらないがゆえに離婚できずにいることを主張する必要があります。
もし離婚裁判にまで発展するような可能性がある場合は、早めに離婚問題に強い弁護士に依頼した方が良いでしょう。弁護士に依頼すれば法律に基づいて、依頼者の権利を主張してくれます。
■面会交流が認められない場合
基本的に日本国内の論調として「面会交流は子供にとって良いことだ」という流れになっています。したがって、家庭裁判所における調停や審判も、面会交流に対して肯定的です。その結果、基本的には面会交流を拒否することは難しくなっています。
しかし、非監護者に何らかの問題があれば、面会交流を拒否できる可能性もあります。そこで面会交流が認められない場合について4つのパターンを見ていきます。
子供が面会を拒絶する
すでに何度かお伝えしていますが、面会交流は子供の利益のために行われます。つまり、子供が面会交流を拒否している場合は、面会交流が認められません。
なお、こうした意見が認められる子供は、15歳以上で一定の判断がつく子供や、監護者の意見に左右されずに判断ができる子供に限られています。こうした子供が面会交流を拒絶しているのであれば、非監護者との面会は認められません。
また、面会したことで、子供が暴力をふるわれる可能性がある場合や、不登校になる可能性がある場合なども認められません。
監護者が面会を拒絶する
監護者と非監護者に、教育方針や養育方針に違いがあり、面会が子供の成長に著しい問題を来たす場合も拒絶ができます。
特に、まだ子供が乳児・幼時で全く判断がつかない場合は、子供の成長に悪影響をもたらす可能性があります。こうした場合には監護者が面会を拒絶できる可能性もあります。
非監護者が面会に値しない人物である
非監護者が法律違反を犯していたり、育児放棄をしていたり、子供を連れ去る危険性がある場合などには面会が認められません。そのほか、明らかに子供に悪影響を与える可能性がある場合、危害が加えられる可能性がある場合にも面会は認められないでしょう。
夫婦間に何らかの問題がある
離婚前に家庭内暴力が行われているなどで、子供や監護者が非監護者に対して恐怖を感じている場合にも認められません。また、面会によって子供や監護者に肉体的・精神的苦痛がある場合にも認められないケースが多いです。
■面会交流権を侵害した場合は?
協議や法廷にて面会交流が認められているにも関わらず、その権利を監護者が侵害した場合には「履行勧告」や「間接強制」などが行われる場合があります。それぞれの違いは下記の通りです。
- 履行勧告:裁判所から権利の侵害を注意される
- 間接強制:権利侵害の代償に制裁金を請求される
法律に基づき、これらが行使されることが認められています。
したがって、仮に監護者が面会交流の妨害をした場合には、注意をされたり、制裁金を科せられることがありますので、注意が必要です。
■まとめ:面会交流権で揉めそうなら弁護士にご相談を
面会交流権について見ていきましたがいかがでしたか?面会交流権は非監護者に認められた、子供との面会する権利です。しかし、子供、監護者が面会を拒絶する、または非監護者が面会者に値しない場合には認められないケースもあります。こうしたポイントをしっかりと押さえておくといいでしょう。
しかし、離婚問題は人間関係の破綻から来るケースが多いため、非常に複雑な場合が多くなります。そこで子供の人生がかかってくるわけですから、客観的に、かつ法的に取り扱う必要性もあります。
離婚問題に強い弁護士に相談して、問題の解決を図ることで、離婚問題を長期化させず、かえって親と子供の関係を出来るだけ壊さないようにして離婚を成立させることが望ましいケースが多々あります。
「子供に会いたい!」という気持ちをお持ちの方や離婚をお考えの方は弁護士までご相談ください。
離婚相談実績が多数ある当エクレシア法律事務所では、完全個室にてご相談をさせていただきます。お子様の同伴も可能です。
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