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離婚が認められる「婚姻を継続し難い重大な事由」とは?(まとめ)

離婚:婚姻を継続し難い事由のイメージ

■離婚の理由の一つ:婚姻を継続し難い重大な事由

夫婦関係が悪化すると、離婚を考えるケースがあります。離婚理由としては、不貞や精神病、配偶者の生死不明や悪意の遺棄などさまざまなものがありますが、性格の不一致や金銭問題、宗教上の理由などのケースでも離婚はできるのでしょうか?法律では、裁判上の離婚原因として「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められていますが、これが具体的にどのようなケースで認められるのかが問題になります。

そこで今回は、離婚が認められる「婚姻を継続し難い重大な事由」について解説します。

 

 

■1. 裁判上の離婚原因5つ

夫婦が離婚をする場合、お互いが話し合って合意をして離婚する「協議離婚」や裁判所で話し合って離婚する「調停離婚」のケースでは、離婚原因を問題にする必要姓は少ないです。協議離婚や調停離婚の場合には、夫婦が離婚することに合意すれば、特に法律上の離婚原因がなくても離婚することができるからです。

これに対して、裁判によって離婚をする場合(裁判離婚)には、民法が定める裁判上の離婚原因がないと、離婚が認められません

 

日本では、「破綻主義」と呼ばれる夫婦関係の破綻の有無に焦点を当てる考え方より、「有責主義」と呼ばれる夫婦関係を破綻させた責任の有無に焦点を当てる考え方を重視しているためです。

民法で定める夫婦の義務を果たしているのか、その義務を怠って破綻させているのか、そういった点を見ることが多い傾向があります。

 

さて、民法で定める離婚原因は、以下の5つです。裁判上の離婚原因は、民法770条1項に規定されています。

 

1-1. 不貞行為(民法770条1項1号)

まず、配偶者の一方が不貞をした場合には、裁判によって離婚することが認められます。不貞とは、一般的に言うと「不倫」のことです。ただし、法律上の不貞と言うためには、男女関係(肉体関係)が必要になりますので、単にデートをしていたり食事をしていたりするだけでは不貞とは言えません。キスをしていたといても、それだけでは不貞になるわけではないので、証拠を集める場合などには注意が必要です。

 

1-2. 悪意の遺棄(民法770条1項2号)

配偶者の一方が他方を悪意で遺棄した場合にも裁判上の離婚原因になります。悪意の遺棄とは、たとえば突然家を出て行って行方不明になったり、生活費を渡さなくなったりして相手を見捨てることなどです。

 

1-3. 3年以上の生死不明(民法770条1項3号)

配偶者の一方が生死不明となって3年以上が経過した場合にも裁判上の離婚原因となります。行方不明でも、生きていることが明らかな場合には適用されません。また、生死不明の期間が7年以上になると、失踪宣告もできます。

 

1-4. 強度の精神病(民法770条1項4号)

配偶者の一方が強度の精神病であるケースでも裁判上の離婚が認められます。

強度の精神病とは、たとえば早期性痴呆やそううつ病、偏執病、統合失調症などが該当します。アルコール依存症やヒステリー、ノイローゼなどは該当しないので、離婚原因にはなりません。

強度の精神病によって離婚が認められるためには、治療が長期間に及んでいたり、離婚を請求する側が、それまで誠実に面倒を見てきたり、精神病を患っているものの離婚後の生活についての方策があることなどが必要になります。

 

1-5. 婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)

裁判上の離婚原因に、婚姻を継続し難い重大な事由があります。これは、上記の4つの離婚原因にはあてはまらないけれども、それに準じた重大な離婚原因があるケースです。

上記の4つは典型的な離婚原因を挙げたものなので、それに該当しなくても、それと同程度に婚姻を継続し難い事情があれば、離婚が認められるということです。

 

■2. 婚姻を継続し難い重大な事由とは?

婚姻を継続し難い重大な事由があると、民法770条1項1号~4号に該当する事情がなくても裁判上の離婚が認められますが、それは具体的にどのようなケースなのかが問題になります。

婚姻を継続し難い重大な事由は、1号から4号に匹敵するような重大な内容である必要があります。以下では、どのようなケースが該当して、どのようなケースが該当しないのか、具体的なケースを例にとって見てみましょう。

 

■3. 婚姻を継続し難い事由の具体例

婚姻を継続し難い重大な事由に該当するのかどうか、ケースごとに検討します。

 

3-1.性格の不一致

性格の不一致によって離婚が認められるのかという問題があります。

この場合、どの程度の不一致があるのか、またそれによってどのような問題が起こっているのかが問題となります。

日常生活の習慣などの些細な違いがあるだけでは離婚原因になりませんし、かなりの齟齬が起こっていても、夫婦の努力によって修復できる可能性があるとみなされたら、これだけで離婚することは難しくなります。

しかし、性格の不一致が原因で夫婦仲が相当悪化しており、別居に至っていたり、双方が修復に向けた努力をする気持ちが完全に失われていたりするケースなどでは、すでに夫婦関係が破綻しているとみなされて離婚が認められることもあります。単に性格の不一致があると言うだけでは離婚は難しいですが、他の原因とあいまって夫婦関係が破綻している状態になっていたら離婚ができるということです。

このように、性格の不一致によって離婚が認められるかどうかは、ケースバイケースの判断になります。

 

3-2.暴力・暴言

家庭内暴力(DV)や暴言、モラハラなどが原因で離婚したいという夫婦も多いです。

DVや暴言、モラハラなども離婚原因になることがあります。ただし、軽い暴力が一回あっただけのケースなどでは、それを原因に離婚することは難しいでしょう。

裁判上の離婚が認められるためには、婚姻関係が破綻していることを認定してもらう必要がありますので、たびかさなる暴力や暴言が日常的に続いているとか、一回暴力が振るわれると数時間止まらないとか、妻が骨折などの大けがをしたなどの事情があれば、離婚が認められやすいです。

DVを原因として離婚をしたい場合には、暴力を受けた際の証拠を残しておくことが大切です。殴られてあざができた場合にその写真を撮ったり、病院に行ってきちんと医師に診断書を書いてもらったり、日常的な暴言についての日記をつけるなどの方法で証拠をとりましょう。

配偶者からの暴力がひどい場合には、保護命令を出してもらって配偶者が自分に近づけないようにしてもらうことも可能です。

 

3-3.相手の両親や親族、嫁姑の問題

夫婦の関係が悪くなる原因として、配偶者の両親や親族とのそりが合わないケースも多いです。嫁姑問題もありますし、夫がマザコンであったり、妻が実家離れしなかったりする問題もあります。

この場合、基本的には離婚原因としては認められにくいです。婚姻を継続し難い重大な事由は、基本的に配偶者自身の問題であり、配偶者の実家との問題ではないからです。

ただ、配偶者の親族などとの不和が原因で、夫婦関係そのものが悪化することはあります。

たとえば、姑が嫁に辛く当たるので嫁がうつ状態などになっているのに、夫は嫁をかばうことなく無関心であったり、姑に加担して一緒に妻を責めたりするようなケースでは、婚姻関係の破綻が認められて離婚が認められることもあります

 

3-4.宗教上の対立

夫婦間では宗教上の対立が起こることもあります。ただ、信仰や宗教については、憲法上信教の自由が認められているので、それだけで離婚原因として認められることはありません。

ただ、配偶者の一方が宗教活動にのめり込んで、勧誘活動などのためにほとんど家にも帰ってこなくなったり、仕事や家事や育児を放棄したりして家庭生活を顧みなくなって家庭が崩壊してしまった場合などには、婚姻関係が破綻しているとして裁判上の離婚が認められるケースもあります。

 

3-5.金銭問題、ギャンブルなど

配偶者の金銭問題やギャンブルなどが原因で離婚出来るかという問題もあります。たとえば、夫に借金癖があって何度言っても借金を繰り返したり、働かないでパチンコばかりしていたりするケースなどがあります。

この場合、単に借金癖があるというだけでは離婚原因にはなりません。しかし、夫が健康であるにもかかわらず、働かずにギャンブルばかりして、借金をして家計に負担をかけ続けていたり、生活費を入れなかったりすると、悪意の遺棄が成立して離婚原因が認められることもあります。悪意の遺棄が成立するためには、家族が経済的に困窮していることを単に知っているだけではなく、家族が困窮することを知りながら、あえて放置して一定期間遺棄し続けることが必要となります

悪意の遺棄が成立しなくても、配偶者の借金問題が原因で夫婦関係が悪化して、すでに互いにやり直す気持ちが失われている場合などにも、婚姻関係の破綻が認められて離婚が認められる可能性があります。

 

3-6.性的な不一致、性的異常

夫婦関係が悪化する原因として、性的な不一致や一方の性的な異常、度を超した趣味などがあります。

性生活の不満については、それだけで離婚原因として認められることは少ないですが、夫婦関係破綻の一事情として考慮要素にされることは多いです。

たとえば、異常な性的嗜好として、SMを強要したり、性行為を拒絶されたら暴力を振るって無理矢理従わせたりすると、婚姻を継続し難い重大な事由が認められる可能性があります。

性的な不一致の問題としては、セックスレス問題もあります。夫が性的不能な場合やセックスレスのケースの場合、それだけでは離婚原因にはなりにくいです。妻が高齢で性交渉を拒絶したり、病気や高齢が原因で性交ができなくなったりした場合にも、離婚原因にはなりません。

ただ、これらのことが原因で夫婦関係が悪化して、互いに修復する気持ちが失われているケースなどでは婚姻関係の破綻が認められて離婚原因となることもあります。

配偶者が同性愛者のケースでも、問題が起こります。この場合も、そのことだけで離婚原因になるわけではありませんが、それが原因で夫婦関係が悪化して、修復しがたい状態になっている場合には婚姻関係の破綻が認められて離婚原因になります。

3-7.配偶者が犯罪を行ったケース

配偶者が犯罪行為をした場合にも夫婦関係が悪化します。ただ、殺人や強盗など、よほど大きな犯罪でもない限り、犯罪行為が単独の原因で離婚原因になることはないでしょう。

ただ、軽い犯罪でも、度重なって夫婦関係が相当悪化してしまったり、懲役期間が長引いてその間に夫婦の気持ちが離れてしまい、互いにやり直す気持ちがなくなってしまったりしたケースなどでは、離婚が認められることもあります。

 

3-8.家事や育児に協力しない

共働きの夫婦などで良く問題になりますが、夫が家事や育児に非協力的なことで夫婦が不和になることがあります。

この場合、家事や育児に協力してくれないというだけで直ちに離婚原因になることはありませんが、このことが原因で夫婦関係が悪化して、家庭内別居状態になっていたり、お互いが改善する努力をする気持ちがなくなっていたりするケースなどでは、婚姻関係の破綻が認められて離婚原因になることもあります。

 

3-9.子どもができない

子どもができないというだけで、離婚原因が認められることはありません

ただ、子どもができないことがきっかけで夫婦仲に亀裂が入り、一方が不貞をしてしまったら不貞が原因で離婚することができます。不貞がなくても、夫婦が不和になって家庭に別居状態になって口も聞かず、食事も一緒にせず、互いに修復する気持ちがなくなっている場合などには、それらの事情を総合的に評価して離婚が認められることもあります。

 

以上のように、婚姻を継続し難い重大な事由によって離婚が認められるかどうかという問題は、ケースバイケースの判断になり、極めて難しいです。

自分たち夫婦の場合に離婚原因が認められるかどうかわからない場合には、弁護士に相談してアドバイスを受けると良いでしょう。

 

■まとめ

今回は、離婚原因の中でもはっきりとはわかりにくい「婚姻を継続し難い重大な事由」について解説しました。婚姻を継続し難い重大な事由が認められるためには、裁判上の離婚原因に準じた重大な問題が起こっていることが必要です。性格の不一致や金銭問題、DVのケースや宗教上の対立のケースなど、夫婦間の問題はさまざまですが、それぞれの場合にケースバイケースの判断が必要になります。

配偶者との離婚を考えているけれども、自分たち夫婦のケースで離婚原因が認められるかどうかがわからない場合や正確なことが知りたい場合などには、一度弁護士に相談をして専門家からのアドバイスを受けると良いでしょう。

 

■離婚問題がこじれてお悩みの方は弁護士に

上述のように、離婚を検討している方には、離婚理由として成立するのかどうか、経済的な面で、慰謝料や養育費、婚姻費用などがきちんと取れるのか、あるいは親権を獲得できるのかといった不安がたくさんあるかもしれません。

離婚には大きなストレスを伴います。ですからあとから後悔しないためにも、きちんと法的なアドバイスをもらい、道筋をつけて前に進む必要があります。

離婚問題でお悩みの方は、エクレシア法律事務所(埼玉県越谷市)の弁護士までご相談ください。丁寧・親身にご相談に応じます。

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