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性格の不一致や価値観のズレなどによって、婚姻生活に幕を下ろす夫婦も少なくありません。ただし、中には当事者は不仲でなくとも、義理の父母(特に姑)を原因として離婚する夫婦もいます。
ここでは義理の父母とのトラブル別に、離婚の可能性について検討していきます。また、夫から協力が得られる場合と、そうでない場合で離婚時の慰謝料請求に可否が出るので注意して確認してください。
■嫁姑問題とは?
嫁姑問題とはその字の通りで、嫁と姑の間に起きる問題のことを言います。問題の種類にはいくつかあり、代表的なケースは次の通りです。
- 姑から子育てに過度に口を出される
- 姑から嫌がらせ行為/暴力を受ける
- 姑の介護が度を越して困難で続けられない/嫁が介護を放棄する
これらの問題が日常生活で恒常的に繰り広げられることにより、家庭環境・人間関係が悪化していきます。ここで特徴的なのが、単に「姑が嫌い」というだけではなく、特に夫の積極的な介入がなく、嫁姑問題を解決してくれない場合には、婚姻生活を終えるケースも珍しくありません。これが嫁姑問題なのです。
■嫁姑問題のケースごとに「離婚」を考える
嫁姑問題のケースごとに「離婚」の可能性等について検討していきます。3つのケースを見るので、もし嫁姑問題を原因として離婚を検討している場合には詳細を確認してください。
姑からの嫌がらせを受けるケース
嫁姑問題で多いのが、姑からの嫌がらせを受けるケースです。姑の嫌がらせの中でも多いことが、「暴言を吐く」行為です。二世帯住宅など、義理の父母と生活を共にしている場合に、よく起きる嫌がらせです。
また、「連絡も無しに突然訪問する」行為もあります。嫁姑間の仲が良ければ問題ありませんが、姑との関係が悪いと嫌がらせ行為にしか思えません。したがって、こうした精神的苦痛を受ける行為が、嫌がらせに当てはまります。
なお、姑からの嫌がらせを受けていても、夫が無関心でいる場合も珍しくありません。夫に相談しても関係の改善が見込めない場合には、妻は離婚を検討し始めることが多いです。
姑との性格が合わないケース
姑と嫁の性格が合わないことも、嫁姑問題に発展しやすいケースとしてあります。性格が合わないことで、姑から「ああしろ」「こうしろ」としつこく口出しを受けることになります。
また、嫁に対しての文句ばかりでなく、子供の躾(しつけ)、教育へも口出しをしてくることもあります。同じような価値観、考え方をしていれば問題はありませんが、ちょっとした性格の違いでもトラブルに発展しやすいです。
なお、夫が嫁姑の性格の不一致に干渉してくるケースは多くありません。夫に協力をあおいでも、姑からの干渉がおさまらない場合には、嫁のストレスになり「離婚」を考え始めます。
姑との同居を解消することで改善されるケースもありますが、経済的な状況もあり、それが難しいケースもあるでしょう。
姑の介護が大変なケース
義理の父母の年齢によっては、介護しなければならない家庭もあります。そして介護をする人が嫁であるケースも多いです。なぜなら、介護施設に入るだけのお金がなかったり、夫は仕事で家にいられなかったりするからです。その結果、介護の負担を嫁が負うことになります。
また、ただでさえ重労働な介護仕事に加えて、姑から不満を言われることもあります。親切に介護をしているにもかかわらず、不満を言われることは嫁にとって耐えられないことです。その結果、介護の肉体的負担や、不満による精神的負担によって、嫁は離婚を考えるようになります。
なお、姑の介護が大変なケースでも、夫が積極的に事態の改善に努めることは少ないです。相談しても改善されない場合には、夫への愛情も希薄になっていくでしょう。
■嫁姑問題を原因に離婚できるのか?
嫁姑問題を原因に離婚することは可能なのでしょうか?実際には、嫁姑問題だけでは離婚は難しいようです。しかし、夫婦関係によっては、離婚できる可能性もあるので確認してください。
嫁姑問題だけでは離婚は難しい
嫁姑問題を原因に、離婚を成立させることは困難です。なぜなら、日本の離婚制度は協議離婚(話し合いによる離婚)が一般的であり、夫が「離婚したくない」と言えば、相当な事由がない限り離婚が成立しないからです。
また、調停離婚や裁判離婚を起こしても、離婚を認められないケースがあります。なぜなら、婚姻生活が継続できないだけの事由がなければならないからです。
この婚姻生活が継続できない事由とは、例えば不貞行為、悪意の遺棄などです。したがって、単に嫁姑問題が起きているだけでは「離婚」を成立させることは困難になっています。
嫁姑問題を原因に離婚が成立する場合は?
基本的には嫁姑問題だけでは、離婚を成立させることは困難です。しかし、中には嫁姑問題によって離婚が成立するケースもあります。それが「夫が仲裁機能を果たさなかった」場合です。
嫁姑問題は家庭問題であり、夫には仲裁する責任があります。けれども、その責任を果たさず、夫が嫁姑問題に不干渉・無関係を装うこともあります。その結果、夫婦関係が継続できない状態になることで、離婚を認められることもあります。
なお、より離婚を確実にするには、別居期間を設けることが大事です。別居することで、第三者に夫婦関係の継続が困難であることを証明しやすくなります。したがって、嫁姑問題を原因に離婚する場合、「夫の行動」と「別居の有無」がポイントとになるのです。その際、子供をつれて出られるかどうかも重要です。子供がいる場合は親権を確保するため子供をつれて出ることも一つですが、ここは離婚に強い弁護士に予め相談することをおすすめします。
■離婚時に慰謝料を請求できるか?
嫁姑問題を原因に離婚を成立できたとして、離婚慰謝料の請求をすることは可能なのでしょうか。ここでは姑と夫への慰謝料請求の可能性について言及します。
姑への慰謝料請求について
嫁姑問題を原因として離婚する場合、姑への慰謝料請求は可能です。しかし、事実上は困難を極めることの方が多いです。なぜなら、たとえ離婚の原因が嫁姑問題にあっても、結婚・離婚は夫婦間の問題です。したがって、嫁姑問題を理由に慰謝料請求をするには、相当の事由が必要になります。
なお、姑への慰謝料請求が認められるケースとしては、姑が主導して離婚を促す場合などです。夫婦は婚姻生活を続けようとしているにもかかわらず、姑によってその関係に幕を下ろされた場合は、慰謝料請求の可能性があります。例えば、姑からの度を越えた嫌がらせや暴力が立証された場合などです。
ただし、一般的には姑への慰謝料請求は難しいです。そのため、慰謝料請求を検討している場合には、予め離婚問題に強い弁護士に相談をすると良いでしょう。
夫への慰謝料請求について
嫁姑問題を原因として離婚する場合、夫への慰謝料請求は可能になっています。ただし、これは「夫が協力して嫁姑問題への解消に努めない」場合に限られます。したがって、協力したにも関わらず、その甲斐なく離婚に至った場合には、夫への慰謝料請求は困難となっています。
逆に、夫が姑の肩を持ち、一緒になって妻に身体的・精神的苦痛を与えていた場合には、慰謝料請求が可能なケースがあります。この場合には、その証拠が必要になるため、あらかじめ離婚問題に強い弁護士等に相談をしておくといいでしょう。
■まとめ:嫁姑問題で離婚を考える場合は弁護士への相談が必要
嫁姑問題のケース別に離婚に至るまでの考え、また実際に離婚できるか、慰謝料請求できるかについて見てきました。嫁姑問題だけでは離婚を成立させることは困難です。また姑の介護を理由に離婚をすることも困難です。まずは家族内で状況を改善するための話し合いを持つ必要があるでしょう。しかし、「夫の行動」や「別居の有無」によっては離婚も認められるケースもあります。したがって、もし嫁姑問題で苦労を抱えていて離婚をご検討されている方は、まずは離婚問題に強い弁護士に相談をするといいでしょう。
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